【Q&A】保証人について、「根保証」とは何のことでしょう?
Q.私は大学を出て拾われた企業にずっとお世話になっています。50を過ぎて役職もいただけるようになり、特にお金にひどく困ることもなく過ごさせていただきました。そこまでは有り難い話なのですが、副作用と言いますか、どうも私は周囲からカネも肩書もある人間として認識されるようになってしまった感があります。眉唾ものの儲け話を持ち掛けてくる人間もちらほらと現れるようになってしまいました。
そして今回困っているのは、借金の保証人になってくれないかと古い知人に頼まれてしまったことです。借金の保証人というのは避けた方がいいように思われるものですが、若いときにともに苦労した仲の相手ですから、力になってやりたいのです。借金の額を聞いてもなんとか負担できる範囲のものでしたので、自分も泥をかぶるつもりで応じようと思っていたら、詳細な資料を読み込んだところ「根保証」となっていたのです。記憶が定かではありませんが、これは少々注意が必要な類のものだったように思うのですが……。不勉強でお恥ずかしいですが、根保証についてご教授いただけないでしょうか?
A.「根保証には注意が必要」というのはその通りだね。ただの保証人だと思って応じちゃうととんでもない苦労が待ち受けているだろうから、並々ならぬ覚悟と相手への思いやりがない限り、安易に引き受けるべきものじゃないよ。その割に、根保証に関する話の中には、今回のこのケースみたいに「保証人を頼む相手がきちんと詳細を説明していない」というケースが多いんだよね。これは悪意を疑われても文句は言えないと思うんだけどね……。
根保証というのは何かというと、基本的には保証人なわけだね。債務者が作った借金について、元の債務者が借金を返しきれないときに代わりに借金を返済する務めを負う人間のことさ。これだけでも十分に注意すべきものなんだけど、根保証にはさらに注意すべき点がある。根保証の特徴というのはね、保証人を引き受けた人間が保証する債務の範囲が継続的だということなんだ。
借金の保証人っていったら、一回限りの使い捨てなイメージがないかい?つまり一回の案件につき保証人をその都度用意するって感じだ。たとえある借金で保証人を付けていても、その保証人が保証する債務についてはそのときに作ったその借金に限っての話。その債務者が別の借金を作ったからといって、最初の借金の保証人が後に作った借金の保証人を務める必要はまったくない。これが基本的な保証人だよね。
これが根保証になると、話が違う。保証人が保証しなきゃいけない債務の範囲が一回限りで終わるとは限らなくなるんだよ。その範囲を定める線引きは、たとえば一定の期間までとされていたり、一定の額までとされていたりするよ。その規定がされた範囲内において、根保証人は債務者が作るすべての借金について返済を保証しなくちゃならなくなる。
具体例を出しておこうか。たとえば「1000万円までを保証する根保証人」を引き受けたとしようか。すると君が保証人となった債務者が以降に作る借金について、「合計1000万円」に達するまでは君が保証人となるということなんだよ。
何度も借金を組む人にとって、債務者も保証人もいちいち契約書を作らなくてもよくなるという利点はあるんだけど、説明不足でちゃんと保証人が事態をわかっていなくて署名して、後で揉めることも多いんだ。一度根保証の契約が結ばれてしまうと、かなりの間保証人としての務めを降りられなくなることが多いからね。やるのであれば相当な覚悟と債務者への信頼が必要になるものだと思うよ。